イヌワシ祭も大詰め。
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残すは
花拾いのティエン イルゥ
ヤギ引きのククブルの二つの決勝のみです。
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まずは花拾いのティエン イルゥの決勝。
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昨日の好成績者しか残っていないのでレベルが更に高い。
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極度のプレッシャーからなのか落馬するハプニングも。
しかし落馬は後にも先にもこれ一回。
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この体制で花をすくい上げ元の状態に体を戻す。
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そして前日とはスピードも違う。
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このハイレベルな争いの中で更にひときわ目立つ存在がいました。
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怪力ジュンスベックです。
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馬で走り去るがごとく、モーションの流れの中で高く花を投げる。
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このスピードの中で花にちゃんとピントを合わせる俺もすごいが、怪力ジュンスベックの本領発揮はこれからだ。
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スタートが早かったと言われカッとなって審査員に詰め寄るが・・
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すぐに抗議をやめ同じ手さばきをビデオ再生のようにサラリとやってこなす。
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全員競技のプロではありません。
毎日練習して賞金で食べている人ではありません。
歌も、羊の解体も、馬術もカザフ民族の生活にある技術です。
日本は、いや世界は全てを効率化してプロのレベルを高め続けています。
その結果プロとしての仕事のレベルは上がりましたが、生活レベルのこともままならない(もっと言うとお金でプロにお願いしてばかりの)人間が増え続けています。
人ひとりとして生活していく人間力は差がつくばかりだと思いました。

日本人だと言うとこの国に限らず必ず言われるのが・・
ハイテクノロジーを生み出し続ける凄い国だ。経済大国でリッチな人間が多くてうらやましい。自分の国は遅れているが日本はすすんでいる。

自分自身、ハイテクノロジーを生み出した覚えもなければ経済大国になる原動力であった覚えもありません。
もしそれに力添えしている存在であったとしてもただそれだけ。
人とカネの支えなしで生きることができる人間であるわけがありません。
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そして最後の競技。
ヤギ引きのククブル。
クライマックスにふさわしい競技です。
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とにかく強い人間しか残っていないから迫力が違う。
フィールド内で勝敗が決まることなどほとんどなかったと思います。
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ジャイアントが登場
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軽く勝ち進みます。
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怪力ジュンスベックも順当に勝ち進むんですが・・
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このビクトリーランが圧巻!
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踊るように馬を走らせフィールド内に戻って来たと思えば・・
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片手で軽々と40キロのヤギを持ち上げ・・
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振り回す!!!
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うわあああああ!!!
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投げたあああああ!!!!
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ちなみにこのヤギ。
頭がないことにお気づきでしょうか。
以前は頭がついている状態で競技をしていたそうですが・・
外国人観光客からの残酷だと言うクレームで頭を落として競技するようになったそうです。
どちらが残酷なんだか・・・
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そして勝ち上がって来たジャイアントの試合が大変なことになった。
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遠くで群衆に囲まれ喧嘩になった。
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もう喧嘩しているのは当事者なのか止めに入ったものなのか、野次馬なのか・・
乱闘状態に近いものに。
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試合の結果はわからないまま・・
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怒りながら抑えられるジャイアント。
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怪力ジュンスベックもピンクの衣装がズタズタになりながら群衆から出て来た。
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ピンクから黄緑になっても気が荒い怪力ジュンスベック。
しかし彼が偉大なのはやはりこの後。
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遺恨の後、群衆が見守る白熱した試合。
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予想通りスタートと同時に壮絶な試合に。
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普通に馬で走るより早いんじゃないかと言うスピードで駆け抜け・・
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勝者は怪力ジュンスベック。
望遠カメラのファインダー越しにがっちりと握手する二人が見えました。
カザフ民族が暮らすウルギーの街で通りすがりに手や足が当たる何度か光景がありました。
すると真っ先にお互い手を出し知らないもの同士が握手するんです。
これはここらでの習慣のようです。
彼らは純粋で納得いかないことをその場で解決しようとします。
怒った時は相手が誰だろうと怒る。
それが粗暴だと勘違いされることも多いんでしょう。
しかし、実際は分かりあうのも早く遺恨を残さない。
喧嘩っ早いのは間違いない、しかしそれだけで野蛮・粗暴と言われるのは僕的に納得がいかない。
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ヤギ引き以外の競技で表彰を受けるジャイアント
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そして怪力ジュンスベック
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しかし、そんな彼らも納得がいかなかったことがある。
それはまさかの展開。
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ヤギ引きククブルは喧嘩が多すぎるため全てがノーゲームになったと言うこと。
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しかし、納得がいかないと言うのも・・全員がもう一回やれば俺が勝てると思ってのこと。
人様のことをアレコレ文句を言い続ける国のクレームとは違い実に男らしく潔い考え方ではないでしょうか。
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四男アサルベック。
決勝では失格となってしまったものの・・前日の好成績で見事4位に入賞していました。
争いごとに一切入らない彼の姿、これも男らしい。
ようやく笑顔が出て僕も嬉しくなった。
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こうして2017年、年に一度のイヌワシ祭は幕を閉じました。
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長いブログですがイヌワシ祭を通して見ていただきた方はお分かりでしょうが・・
観光客を喜ばせるショー的なものだけでやっているわけではないと言うことです。
日本でもフェスとか祭とか呼ばれるものの中には興行収入が中心になって開催されるものも多いかと思います。
厳しい環境で生き抜くための生活の技と力を競うプライドが本気でぶつかり合うこのイヌワシ祭。
誰もが熱くなったことだと思います。
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家に戻って川で頭洗ったりしてたんですが・・
暗くなり始めてようやくアサルベックが戻って来ました。
彼はヘベレケになってお母さんに4位入賞の商品?賞金?を手渡しました。
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彼はお酒がかなり弱いようです。
でも帰り道、いろんな人が声をかけてくれて立ち寄ってお父さんの偉大な話などを聞かせてもらいながら帰って来たそうです。
その時にお酒を飲まされたようです。
お母さんのチョルパンさんは始め嬉しそうですが・・お酒に酔ってる姿はあまり好きじゃないようです。
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彼は戻って屋根からイヌワシを呼ぶのを体験させてくれました。
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真面目で明るくて優しいアサルベック。
お酒が弱く饒舌になってるアサルベック。
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こんなこともできるんだよ。
このイヌワシと僕は強い絆で繋がれているから悪いことは僕にしないんだと言いながら、彼はイヌワシのくちばしを自分の口の中に入れ舌に当てて見せました。
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食いつかれて口の中血だらけでしたが(笑)
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彼は夜の間、このウイの中でしゃべり続けていました。
お父さんのマナさん亡き後、家族を守らなければならないと言う思いが強いんでしょう。
普段はしっかりした好青年。
でも話の内容はマナさんの偉大さを知ってもらうための話やお父さんとの約束を守れなかった悔しい思いなど。
そして今日の喧嘩で終わってしまった祭の内容と不本意な成績をわびた。
内容が内容だったので無粋と感じ彼にカメラを向けるのはやめた。
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なんども書くようにアサルベックは真面目で明るくて優しい。
酔った時人間の本性が出ると言う話をよく聞く。
それが本当であるならば・・彼はそれに加えて、寂しがり屋で甘えん坊だ。
まだ彼は28歳。これがなければ完璧すぎて気持ちが悪い。
お母さんが酔っ払って迷惑をかけてるんじゃないかと何度も彼に家に戻れと言う中・・
最後に彼は
カザフ民族のこと、家族のこと、僕のこと、なんでもいいから聞いてくれ。全部答えると言った。
彼に「僕は酔っ払いにあなたにとっての幸せを聞くのが趣味なんだ」と言った。
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彼はまずこう答えた。
「家族の健康と幸せ・・」
この時、僕は酔っ払いがあまり考えていないのでありきたりのことを言っていると思った。
しかし彼はこう続けた。
「家族の健康と幸せと以前答えたことがある。あまり考えたことがなかったのでそのあと本気でじっくり考えてみた。そしたら、家族の健康と幸せだった。」
彼は本気だ。僕は彼の言葉を信じた。