この日の早朝から探しに行くもの、それはケツァールです。
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コスタリカと言えばという問いにこの鳥の名前をあげる人も多いでしょう。
・幻の鳥・火の鳥・世界一美しい鳥・・
色々なネーミングで呼ばれ一度は見てみたいと誰もが思う鳥であることは間違いありません。
ボク自身も手塚治虫の火の鳥のモデルであることからこの鳥の存在を知り見てみたいと思った人間の一人です。
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ケツァール
和名はカザリキヌバネドリと言います。
英語もスペイン語もquetzal(ケツァール)です。
ご近所のグアテマラでは国鳥であり通貨単位ケツァルの由来でもあります。
体長は35cmほどですが繁殖期になるとオスはめちゃめちゃ長い尾を持ち1mを超えることも。
残念ながらこの時期は尾が落ちてしまいます。
もちろんそれを知っていてもみたいと思ってここにやってまいりました。
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撮影の注意点ですが、鳥を探す時は目立つ服を着てはいけません。
鳥を刺激して出でこなくなるからです。
寒いからといって黄色いダウンジャケットを着るなど言語道断です。
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この山小屋のガイドは近隣の住民からケツァールのいるだいたいの位置を聞いています。
とは言え広い山奥。
ケツァールも移動することから昨日見れたからといって見れるとは限りません。
いたとしても遠かったり木の奥の影にいたりと毎回コンディションが違うわけです。
逆に稀に近くに来ることもあるそうです。
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最初のポイントでいきなり発見しました。
これ・・非常にわかりにくいんですがオスの幼鳥だそうです。
幼鳥時はメスに似て地味な灰色の頭をしています。
高い木の上、しかもまだ暗い時間、枝も邪魔して指が震えている間に飛び去ってしまいました。
でも・・一応見れたことは見れた。
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少々探しても現れないので他のポイントに移動。
移動の最中にも色々な鳥に出会えます。
標高は2500m。
他の場所では見れない鳥もいたりするんです。
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オナガレンジャクモドキ
Long-tailed Silky-Flycatcher

高地に生息する希少な鳥です。
これだけ頑張っている髪型なのにモドキという名前をつかられるなんて災難です。
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クビワキヌバネドリ
Collared Trogon

メスです。これもケツァールと同じキヌバネドリなんですがやはりメスは地味。
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ついにケツァールのメスが現れました。
もちろん長い尾はありませんし、頭は灰色でフサフサもない。
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今回ケツァールのメスを見たのはこの一羽のみ。
それにしてもエメラルドグリーンに輝く羽の色と形の美しさときたら・・手塚治虫が漫画描きたくなる理由もわかります。
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ケツァール・カザリキヌバネドリ
Quetzal
ついに・・見たかったオスのケツァールに出会うことができました。
独特なド派手な姿が目立つコスタリカの野鳥の中でもひときわ特別感を感じます。
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そして深い木の中から徐々に木の外へ。飛ぶたびに少しづつ近づいてきます。
そのたびにいい角度を狙って黄色いダウンジャケットが走り続けます。
胸の赤色はベストテンで連続一位の世界記録を作った寺尾聡のルビーの指輪ソファーのような色です。
覆いかぶさるマントのように輝くエメラルド。
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そして愛くるしいつぶらな瞳。
ケツァールは何度も空中でリトルアボカドの実を食べ、枝に行っては消化します。
ノド付近で実をはがし大きなタネを口から吐き出します。
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リトルアボカドの種は一度ケツァールの口に入ったものしか発芽しません。
ケツァールはリトルアボカドがなければ生きられませんしリトルアボカドもケツァールがいなければ種を残すことはできません。
この生態を知らずにどちらか一方を人間がなくすようなことがあれば、当然両方とも地球から姿を消すことになります。